蓼科・霧が峰・美ヶ原・乗鞍高原ツーリング・レポート

22nd May 2003 by ueno さん

5月17日(土)

  グキッグキッ…(起床してストレッチ体操するおやぢの関節が奏でる音)。出発 は6:30。天気予報は日曜日が雨、と、なれば今日(土曜日の予報は曇り)の うちに走っておかねばと、早出です。現地予想気温は18度ですが、ともあれ春 スキーが出来る場所に行くんだから暖かめのウェアじゃなきゃね…ということ で、いつもの革ジャンと革パンで決まり(考えなくていいからラク)。しばらく 都会の渋滞ともおサラバさっという気持ちで街を抜け、国立府中ICから中央高 速に入り、一路諏訪に向けてアクセルを開けた。今回ご一緒したのはドカST2 乗りのD氏。先週に新調したシャークのマフラーが、ツアラーらしくない爆音を 響かせます。いつものことですが、こちらX11はパワー、スタビリティとも全 く文句ないのですが、高速では和まない単車です。せめて6速があれば、高速で もこんなにグリグリッとトルクかけなくても走れるのにね…なんて思います。 ま、これが猛牛たる所以か。最初の休憩地の談合坂SAから雨になって、周囲の 山並みもモヤに煙ります。憂鬱な気分で雨ガッパを装着。

D氏「予報より少し天候悪いですね。」
ueno「ええ。(少しぢゃないよー、ずっと悪いよー…)」

気を取り直して出発。雨の相模湖、大月を通過して、笹子トンネル内でしばらく 雨に打たれずに済むなあと安堵。おや?トンネル出口が妙に眩しいなあ…えっ? えええっ?(出たっ!)うわー快晴ぢゃん!!なんと勝沼側は五月晴れでした♪ 高速で走っているのに、道路周辺の花(スモモの樹?)の甘い香りがヘルメット の中にも届いて、思わず笑みがこぼれます。天気が好転した時の喜びと言い、こ ういう時のトキメキはライダーの特権ですね。

しかし急に晴れると虫が凄い。八ヶ岳から原に至る森林縦断では、シールドがつ ぶれた虫だらけ。この周辺からビーナスライン到着までは、D氏と交互にシール ド掃除をしながらの走行でした。(晴れたのと、人間ができているので、虫程度 ではムッとこない。)10:30中央道・原PAに到着。野趣あふれる早め昼食 〜天ぷらソバ〜をチャージすると、予定より1時間早く11:00には、いよい よ諏訪ICから通称ビーナスライン(R192→R40→R194→R460)に入りま す。

白樺湖まで(R192、R40)は、蓼科リゾートの美しい杉林と白樺林を抜けま す。↓

ハイジホテルとかピラタスの丘とか、アンノン族(皆さん知って ます?この族)華やかな頃の定番リゾート施設が続きます。蓼科周辺は直進も多 くカーブも穏やか。高速道路に飽きていたので体重移動が楽しい♪イレブンの巨 体をリーンさせる楽しみがここにあります。スズラン峠を越え白樺湖に下りたコ ンビニでは、「浅間サーキット倶楽部」のベテランライダー諸氏と挨拶。200 km近く走って初めての挨拶ですので、天気予報が芳しくなかったせいかライ ダーが来ていない証拠。

さてここから車山高原を経て霧ヶ峰の和田峠まで(R194)が、ビーナスライン のハイライトということで、期待に胸弾ませて進みます。森林限界の過ぎた下草 の生えた稜線を、峰伝いに道が走ります。はるか眼下には諏訪の市街が臨めま す。初心者に優しい曲率のカーブが延々と続きます。ブレーキレバーの引き緩め と膝のプッシュだけで次々バンクできます。これは至福!と、いうわけで満面の うちに、無事和田峠の茶屋に到着。↓

この茶屋から、走ってきた車山側 を臨むと、予想以上に彼方遠くで驚かされました。

D氏「さっきまで、あそこにいたんですよね。」
ueno「ホント。まさにずーっと峰々を渡ってくるルートなんですねー。」

茶屋では地元のカップルさんが「これ(イレブン)何ccですか?」と尋ねてき てしばし談笑。川原亜矢子さん似のお嬢さんと礼儀正しい好青年。お嬢さんは中 免取得中。彼のクルマはドノーマルのインテグラ。…なんか、おやぢ2人は眩し いものを見るように、眼を細めて嬉しくなってしまいました。ビーナスラインに は清楚な恋人たちが似合うっ! ここからの和田峠から扉峠まで(R460)はアップダウンが多く、カーブも少し きつくなりますが、周囲の木立が綺麗。

D氏「しかし、緑が萌えるとは、昔の人は良く言ったものですね。」
ueno「新緑が綺麗ですねー。天気が良くてシアワセ。」

扉峠では茶屋わきのルート看板を前に、このあとの行程を打ち合わせ。

D氏「uenoさん、ココ(北端の武石峠を指す)でビーナスラインを下りて、 街(松本)に入るんですよね。」
女性「お客さん、そこ(武石)は工事中で通れないわよ。」

予期せぬ介入に振り向くと茶屋のおばちゃんです。我々の話を立ち聞きしていて 暖かい助言でした。ビーナスラインには世話好きの笑顔のおばちゃんも似合 うっ!(笑)と、いうわけで助言に従って、この先美ヶ原美術館でUターンして 戻ってくることに決定し、ビーナスラインの仕上げに向かいます。扉峠から美ヶ 原美術館のある白樺平までは峠らしい峠でした。道も空中に張り出すヘアピンが 存したりして、ちょっとスリリング。標高も1900mを超えます。ヘアピン下 りはイレブンだとアクセル全閉でエンブレ効かせればクルリとターンできます が、ビッグツインではエンジン失火しないように半クラしなければならないの で、D氏ちょっとお疲れのご様子でした。14:00には無事美ヶ原美術館に到 着。ここの景色は雲の上の草原という感じで実に雄大。残雪もまだ残っていま す。これにてビーナスライン約30kmは走破完了いたしました。ああ楽しかっ た。

このあとは扉峠に戻り、よもぎこば林道を下って松本市街をめざします。よもぎ こば林道はビーナスラインとは明らかに植物分布が違って、こんもりした森の山 道。↓

山中湖の道志みちを思わせる、のどかな気持ちの良い道でした。 松本に出ると一気に本日の宿である乗鞍高原のライダースペンション「ありす」 に向かいます。夕陽の乗鞍も新緑が実に綺麗。スモモやコナシが多いせいか、森 自体の密度や純度が高いというか、ビーナスラインとは違う趣。山自体の景観は 乗鞍が一番好みです。お世話になる「ありす」は、uenoがプロデュース中のX1 1全国ミーティング(5月末の予定)の作業過程で知ったライダースペンショ ン。何でもアールズギアの樋渡氏も常泊者とのこと。杉林を分け入った中の素晴 らしい環境に建つログハウスでした。この日は10名の団体さんがキャンセルと かで、宿泊者は我々の他は一人旅のお嬢さんだけ。じっくりご自慢の温泉で身体 をほぐしました。温泉はヒノキの湯船で実にくつろげます。食事はペンション洋 食でしたがueno好物の虹マスのソテーが大変美味。春なので小ぶりですが、 身の引き締まったマスは岩魚に匹敵するいい味です。この夜もワイン1本空けて D氏と単車談義を…

本日の走行327km

5月18日(日)

  翌朝は朝露を含んだ葉の匂いが実に爽やかです。朝から清清しい高原の木立ちに 囲まれる幸せ。D氏が昨夜の物音ひとつしない静かな環境に驚いていました。見 上げると今日もおもわず顔がほころぶ晴天、気温22度です。ありすママに記念 写真↓

を撮ってもらうと、早速乗鞍高原の一ノ瀬園地周辺に向けて出発 しました。

一ノ瀬園地は乗鞍鈴蘭一帯を総称する公園地帯。ジグザグの一般道がこの公園の なかを縦断します。白樺の木立ちが綺麗。乗鞍岳が沼地に映って、「さかさ岳」 の姿とミズバショウとがスイスの絵葉書を思わせる景色です。絶景についつい新 調したデジカメのシャッターを押してしまいました。付近のロッジ「ネイチャー ランド」では生乳ソフト(300円)をなめながら、この日ここで催される「すも も祭り」に集まる家族連れや団体バスを眺めます。しかし、今日もライダーが少 ないです。昨年のマイカー規制前駆け込みで、おおかたのライダーは訪れてし まったということでしょうか?

このあとはD氏のリクエストで、規制ゲート(三本滝)まで乗鞍エコーラインを 登りました。一ノ瀬園地からゲート前までで乗鞍エコーラインの1/3は走りま すので、午前中のいい運動になりました。(…ってライディングは運動とは言わ ないか。)ただし、スキーの林間コースを思わせるエコーラインのハイライトは ここから先です。残念ながら乗鞍自体の楽しみはマイカー規制で半減したと言っ ていいでしょう。

続いて訪れた奈川〜梓川ダムサイト〜のトンネル(狭くて暗いトンネル内部で道 がS字!)を楽しんでいたところで、急にライディングがかったるくなって…

D氏「ここで、Uターンする?」
ueno「帰りましょう。(きっぱり)」
D氏「了解っ。」

…と、いうわけで唐突に舵を切り、13:00乗鞍のドライブインで土産を積む と、一気に帰路に着きました。 17:00無事に自宅に着艦。 本日は290km、2日間の総走行617kmの真面目な山岳ツーリングでし た。

おまけ

(1)ビーナスライン(R192、R40、R194、R460)
uenoのような初心者でも楽しめる総延長約30kmの雄大な山岳コース。おま けに一般道ですから無料。ゆっくり走って3時間。松本から入って、テクニカル な美ヶ原側を先に攻略してから、南下するほうが楽かもしれません。なお途中の 扉峠、和田峠とも、野趣あふれる茶屋に軽食があります。

(2)ライダースペンション「ありす」
http://www.icon.pref.nagano.jp/usr/alice/alice.html 「ツーリングGOGO」誌・読者人気投票一位。一泊2食付8,700円とリッチで すが、アットホームとロンサムがほど良く楽しめてお奨めです。温泉は低張性 泉、硫化水素系ですから、湯の花はちょっと茶色なものの、ごく一般的な単純 泉。湯温は熱めでさっぱりします。ありすママは団体大歓迎ということでした が、雰囲気からは少人数の気の合う仲間で行きたいところです。

(3)「ドライブインこばやし」
TEL:0263925132 乗鞍手前R158沿い松本電鉄「新島々(しんしましま)」駅そば
(しかし、なんでこの駅は島々なんて変わった名前なんだろ?)店は観光バス立 ち寄り定番の老舗。店の半分は八百屋&果物屋という農産物中心のドライブイン です。もちろんD氏のためにuenoが事前に探索した店でございます。店員の おばちゃんとの会話も楽しいシブいスポットでした。